当教室について

教授挨拶 – 整形外科学 教授 吉井俊貴

運動器疾患の幅広いニーズに最良の治療を提供し、社会に貢献する

 整形外科学 教授 吉井 俊貴

2023年8月に東京医科歯科大学整形外科学分野の教授に就任いたしました吉井俊貴と申します。本分野は、診療科としては運動器外科学分野と共同して“整形外科”を担当し、脊椎、膝、スポーツ、上肢、股関節、外傷、小児、腫瘍など全ての整形外科領域において、専門性の高い治療を行っております。

整形外科は、骨・軟骨、関節、腱、靭帯、筋など筋骨格系や脊髄、末梢神経など神経系の様々な疾患を扱っております。世界でも随一の超高齢社会のわが国において、整形外科疾患の罹患率は高く、今後も診療科として整形外科のニーズはますます高まっていきます。

私たち東京医科歯科大学整形外科は、脊椎領域においては特に靭帯骨化症の患者数は全国随一で、適切な術式選択を行った上で、除圧術や前方もしくは後方の除圧固定術を行っています。特に頚椎前方の手術は伝統的に当科が得意としております。また脊椎変形(側弯症・後弯症)に対しても、矯正固定術を積極的に行い、脊髄腫瘍に対しては、モニタリング下に安全な摘出術を行っております。また超高齢社会に伴って増加する下肢の変形性膝関節症や股関節症に対しては、早期に除痛と日常生活動作を獲得できるように人工関節置換術を行い、良好な治療成績を得ています。若年者や比較的変性の程度が軽い方に対しては、関節温存手術である骨切り手術を行っています。さらにスポーツによる肩・膝関節の障害に対しての治療も積極的に行っております。多くのスポーツ選手の治療に携わり、競技復帰をサポートしております。今後も、これら運動器疾患の幅広いニーズに対して、最良の治療を提供し、患者さんのアクテビティ、生活の質を高め、社会に貢献していきたいと思います。

東京医科歯科大学整形外科は1944年に設立され、約80年の歴史があります。初代青池勇雄教授、1977年から第2代古屋光太郎教授、1996年から第3代四宮謙一教授、2011年からは第4代大川淳教授、そして2023年、第5代の整形外科学教授として教室を引き継いでおります。当教室は、同門会員は500名を超え、現役の医局員は250名以上所属しております。毎年、たくさんの専攻医を迎えており、入局者数は都内でも有数の教室となっております。これら若手整形外科医をしっかり育てていくことが教室の使命です。私たちは以前よりリベラルな教育システムを構築しており、公平かつ効率的な研修を行い、教室からは、各領域を代表するような、たくさんの優秀な整形外科医が育っております。

また私たちは、運動器疾患に対する治療をさらに進化させるため、骨・軟骨、腱、靭帯、筋、脊髄、末梢神経の基礎的研究も幅広く行っております。特に、臨床に直結するような脊椎・関節の運動機能の再建、再生医学的手法に関する研究、人工材料や人工関節の開発、生体力学的研究、疼痛の制御に関する研究などに注力してきました。今後は、東京工業大学との統合を見据えて、医工連携にも力を入れ、未来の整形外科治療に役立つ生体材料・機器の開発も行っていきたいと思います。

東京医科歯科大学整形外科は、この超高齢社会における運動器疾患に真正面から向かい合い、臨床・研究両面においてベストを尽くし、最高レベルの医療を提供し、人々の幸福に貢献していきたいと考えております。

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