東京医科歯科大学 整形外科

東京医科歯科大学整形外科7

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

病態

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の病因は古くより数多く唱えられています。伸筋(手首をそらす筋)の上腕骨外側上顆起始部の老化や、橈骨輪状靱帯の損傷や狭窄、または滑膜ヒダという関節内の滑膜肥厚など多岐にわたります。我々は肉眼解剖学的研究により短橈側手根伸筋という伸筋腱の1つとその裏にある関節包という関節を包む膜構造の脆さがその病態に関わっていると報告しています(図1、Nimura, JHSAm 2014)。

tennis1図1 当科で解明したテニス肘に関わる解剖学てき知見(Nimura, JHS Am 2014より改変)

症状

手首や手指を伸ばしたときや前腕の回旋時の肘外側部の痛みを訴えることが多いです。なかには握力の低下や、手のひらを下に向けた状態で肘を伸ばしたときの肘のひきつれ感が強く、伸ばしにくいという訴えも聞きます。

診断・検査

圧痛(押していたいところ)の部位は上腕骨外側上顆のみならず、前後の腕橈(上腕骨小頭と橈骨頭)関節上や、伸筋に沿ってあります。手首や中指を抵抗下にそらすと痛い(Tomsen test, middle finger extension test)などの臨床所見が有名ですが、陰性のこともあります。経過の長い患者さんでは、前述の肘の伸ばしにくいという症状(Fringe impingement test)を訴えるのも大事な所見です。MRIにおいて伸筋群やその深層の関節包が剥がれている所見が着目されることが多いですが、関節に挟まり込む滑膜の肥厚(滑膜ヒダ)も重要と考えています(図2)。

tennis2図2 MRIにおける滑膜ヒダの所見

当科の治療方針

原則的には生活動作指導とリハビリにより改善することが多いです。テニス肘の患者さんは手の親指・人差し指・中指を中心に、前腕回内位(手のひらを下に向ける)で物を持つ癖のあることが非常に多く、この動作自体がテニス肘に特徴的な肘外側部痛を誘発しています。なので、まず当科を来院時は
①薬指・小指のみで物を握れるようになる(尺側握り)
②手のひらを上に向けた位置(前腕回外位)で物を持つ
ことを外来指導、リハビリにより獲得していただいています。
それらの治療により、手首運動時の肘痛は改善することが多いですが、肘を伸ばすときのひきつれ感が改善しない場合は、肘関節鏡を用いた滑膜切除術を行っています(図3)。

tennis3図3 関節鏡における滑膜増生と器質化した滑膜ヒダ

(最終更新:2016-07-24)
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