東京医科歯科大学 整形外科

東京医科歯科大学整形外科7

手根管症候群

病態

手根管は手関節部にある手根骨と横手根靱帯(屈筋支帯)で囲まれた伸び縮みのできないトンネルで、その中を1本の正中神経と指を動かす9本の腱が走行しています。この手根管内で、何らかの原因により正中神経が圧迫されると、手根管症候群が発生します。その原因は、手首の骨折後、手根管内の腫瘍、リウマチによる滑膜炎による手根管内の上昇によるもの、妊娠、糖尿病、アミロイドーシス、腎疾患、痛風などホルモンの変化や代謝性疾患に随伴するもの、原因のはっきりしないものに分類されます。最も多いのは、中高年の女性に好発する原因のはっきりしない特発性と言われています。

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正中神経の圧迫 (日本整形外科学会HPより)

症状

手首や手指を伸ばしたときや前腕の回旋時の肘外側部の痛みを訴えることが多いです。なかには握力の低下や、手のひらを下に向けた状態で肘を伸ばしたときの肘のひきつれ感が強く、伸ばしにくいという訴えも聞きます。

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手根管症候群の症状(日本整形外科学会HPより)

診断

当院では上記の症状について医師が確認した後、熟練した作業療法士による機能・感覚検査、精度の高い電気生理学的検査、非常に解像度の高いMRI検査を行い、診断を行います。さらに先端研究により新しい診断法を随時導入しています。また、頸椎など中枢での神経障害がないかについても丁寧に調べます。

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治療

症状が軽度の場合は、保存治療が選択されます。保存治療で改善しない場合や母指球筋の委縮が明らかな場合は手術が勧められます。当院では、傷を小さくして患者さんの負担を軽減するため、局所麻酔で内視鏡を用いて手術を行っています。この術式は術後の痛みが少なく早期の社会復帰が可能という大きな利点があります。しかし、術中の神経損傷など重篤な合併症の報告もあり、十分な経験を有する手外科専門医がいる施設での手術が勧められます。当院には3名の手外科専門医が常勤しており十分な手術経験を有しています。さらに、母指球筋の萎縮が高度な重症例では、この手術のみでは母指機能の回復が期待できないことが多いため、木森法と言われる腱移行による母指対立再建術を同時に行っています。この術式により確実な母指の機能回復が得ることができます。

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木森法による母指対立再建術
上:手術前  下:手術後

(最終更新:2016-07-06)
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