東京医科歯科大学 整形外科

東京医科歯科大学整形外科7

基礎研究:半月板・変形性関節症の治療(運動器外科学)

 半月板は膝関節への荷重負荷をhoop stressに変換することによって吸収し、荷重分散及び関節軟骨の保護に重要な役割を果たしています。半月板は自己修復能に乏しくこの荷重分散機能が失われることから、軟骨変性を促進し、変形性膝関節症の進行や変形性膝関節症の膝痛と相関があることが報告されています。半月板修復術の適応には限界があり、新たな治療法の開発が期待されています。私たちはこの半月板に注目し、半月板の再生と治癒促進について基礎研究を行い臨床の治療成績・治療法の向上を目指しています。

研究内容

1.滑膜由来間葉系幹細胞による半月板治癒促進

野生型ラットの内側半月板を広範囲切除し、Luciferase/LacZ陽性MSCを膝関節内に投与し滑膜由来の間葉系幹細胞(MSC)の関節内投与により損傷した半月板の再生が促進されるか検討しました。in vivo追跡では、関節内投与したMSCは膝関節以外の他臓器への移動を認めず、MSCを関節内に投与すると、半月板欠損部に生着し、直接半月板様細胞に分化し半月板再生を促進したことを示しました(Horie et al. stem cells2009)。これら基礎研究の結果に基づき2011年より半月板縫合術に滑膜間葉系幹細胞移植を併用し臨床応用しています。

2.半月板再生及び軟骨変性の過程の解析

関節ホメオスタシス及び変形性膝関節症の予防のために半月板の機能は重要であるにもかかわらず、その治癒過程の詳細はまだわかっていません。私たちは、マウスの内側半月板前方1/2切除した半月板の修復プロセスの検討を行いました。滑膜炎と損傷部位への線維芽細胞の浸潤が非常に重要なステップであると報告しており(Hiyama et al.J Orthop Res 2017)、 引き続き半月板再生及び軟骨ホメオスタシスのバランスについて研究を行なっています。

3.滑膜由来間葉系幹細胞を用いた再生医療の最適化の検討

滑膜由来間葉系幹細胞を用いた再生治療のより良好な成績を得るためにIL−1β(炎症サイトカイン)を用いて滑膜由来間葉系幹細胞与える影響を検討しました。IL-1βを前投与した滑膜由来間葉系幹細胞は至適濃度を持って細胞増殖を亢進させるだけではなく軟骨分化能も促進しました。IL-1βがこれまで報告されていたcatabolicな作用だけではなくanabolic因子として作用する新規の生理学機能を示唆しました(Matsumura et al. Cytotherapy 2017)。変形性膝関節症に対して再生医療の最適化を目的にメカニズムについても研究を進めています。

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