第22回関東MIST研究会を主催して
横浜市立みなと赤十字病院 鳥越一郎
2025年2月14日(土)、東京コンファレンスセンター・品川にて第22回関東MIST研究会を主催いたしましたので、ご報告申し上げます。

「MIST」とは Minimally Invasive Spine Treatment の略で、「低侵襲脊椎治療」を意味する造語です。およそ15年前に生まれた言葉ですが、その歩みは脊椎外科の進化そのものと言ってもよいかもしれません。例えば腰椎椎間板ヘルニア手術。かつては6cmの皮切で行うLove法が標準でした。それが顕微鏡手術へと進化し、さらに内視鏡手術へ。現在では1cm未満の皮切で行うFESSや、針のみで治療する椎間板内酵素注入療法まで登場しています。「いかに患者さんの負担を減らすか」という一点を目指して、脊椎外科はここまで変わってきました。他の分野も同様とは思いますが、患者さんに“怖い手術”と捉えられがちな脊椎領域では、その流れがより顕著であると感じています。固定術においても、経皮的椎弓根スクリュー(PPS)の登場は大きな転換点となり、LLIF(低侵襲腰椎前方固定術)や頚椎人工椎間板など、低侵襲化の波は広がり続けています。一方で、低侵襲であるがゆえの技術的難しさもあります。特にFESSは慎重さを要する術式であり、「小さく切る」ことが必ずしも「安全」を保証するわけではありません。低侵襲にこだわるあまり100点を狙って0点になってはならない。そのバランスこそが術者の腕の見せ所であり、同時に責任の重さでもあります。
関東MIST研究会は、そのような「低侵襲の理想と現実」を真剣に議論する場であり、日本MIST学会の地方会にあたります。今回は112名にご参加いただき、若手医師も多く、大変活気ある会となりました。プログラムは、低侵襲の基本から最新テクノロジーまで幅広く構成しました。エキスパートセミナーでは、骨粗鬆症性椎体骨折に対するBKP早期介入(練馬総合病院・湯浅先生)、脆弱性骨盤骨折への脊椎外科医の関わり(聖隷横浜病院・大田先生)、そしてFESSの美学と実際(日本鋼管病院・米山先生)についてご講演いただきました。続くセミナーでは、患者適合rod(一宮西病院・大里先生)や低侵襲椎体間固定術(あいちせぼね病院・伊藤研悠先生)といった最前線の治療が紹介され、参加者の関心を大いに集めました。
一般演題では9題の発表が行われ、そのうち2題は同門の先生方(九段坂病院・川畑先生、済生会川口・藤井先生)からのご発表でした。快くご協力いただき、誠にありがとうございました。参加者全員によるQRコード投票の結果、藤井先生が優秀演題賞を受賞されました。心よりお祝い申し上げます。

特別講演1では、「低侵襲で救うために-そして、なお高侵襲が必要な現実と社会システムの課題」という大変印象的なタイトルのもと、東京科学大学・平井高志准教授にご講演いただきました。低侵襲の意義を問い直しつつ、高侵襲手術の役割や医療制度の課題にまで踏み込んだ、格調高い講演でした。特別講演2では、兵庫医大・圓尾先生に超高齢社会においてますます重要性を増している化膿性脊椎炎の治療についてご講演いただきました。低侵襲とは単なる技術ではなく、「医療のあり方そのもの」であると改めて感じさせられる内容でした。

会の終了後は同施設3階にて立食形式の懇親会を開催し、54名の先生方にご参加いただきました。施設や世代を超えた交流が生まれ、吉井教授、新井先生(済生会川口・MISTのパイオニア)を含む同門の先生方にも多数ご参加いただきましたことは大変心強く感じました。

次回第23回は、名称を関東JASMIST研究会と改め(MISTとJASMISSの統合によるものです)、2026年10月24日(土)に恵比寿ガーデンプレイスにて開催予定です。低侵襲脊椎手術にご興味のある先生は、ぜひご参加いただければ幸いです。
最後に、本研究会の運営を力強く支えてくださった東京科学大学脊椎スタッフ・若手スタッフの皆様に心より感謝申し上げます。素晴らしい仲間に恵まれ、脊椎班に加わることができたことを改めて幸せに感じております。