病態
脳表(表層)ヘモジデリン沈着症は、くも膜下腔に慢性的な出血が生じた結果、脳脊髄の表面にヘモジデリンが沈着し進行性の神経症状を呈する非常に希な疾患です。出血の原因として、硬膜欠損や髄膜瘤、脳血管疾患、腫瘍、外傷などが報告されています。
症状
脳や脊髄に広範に障害をきたすため、多様な症状を呈します。
具体的には難聴、小脳失調(ふらつき)、運動障害が典型的な症状ですが、傷害される部位により視覚障害、嗅覚障害、認知機能障害や排尿障害、頭痛など様々です。一般に緩徐に進行する疾患です。
診断・検査
典型的にはMRIにて脳や脊髄表面の表面に信号変化を認めます。特殊なMRI撮影方法により硬膜欠損部位を同定します。また、脊髄腔造影検査により脊髄液の漏出を確認できる場合があります。
当科の治療方針
慢性のくも膜下出血を止めることで症状の進行予防につながると考えています。具体的にはMRIなどで硬膜欠損を認めた症例に対しては硬膜修復術を行うことで、術後の脳脊髄液の漏出の防止を図っています。