先天性筋性斜頸

疾患概要

筋性斜頸は、耳のうしろの乳様突起と呼ばれる部位から胸骨と鎖骨につながっている胸鎖乳突筋が硬くなることで、首の動きが制限される疾患です。筋肉が原因で首を傾げる(斜めになる)ため「筋性斜頸」と呼ばれています。

症状

生後1か月ごろに、首をどちらかに傾げる、首にしこりがある、などで気づかれます。痛みはありません。通常片側性で、片側の胸鎖乳突筋が硬くなるために、硬いほうへ首を傾げます。また、胸鎖乳突筋が硬いことにより反対側への向き癖となり、そのために反対側の頭部が平坦化することが多いです。例えば右筋性斜頸の場合は右へ首を傾げる斜頸位、左への向き癖、左頭部の平坦化が生じます。
乳児期をすぎてから気付かれる場合、最初は側弯症として指摘されることもあります。

検査

・身体診察
診察で、胸鎖乳突筋の硬さやしこりの有無、首の動きを確認します。
・超音波検査
胸鎖乳突筋の中にしこりが確認できることがあります。胸鎖乳突筋の太さやエコー像に左右差が見られます。
・レントゲン
筋肉が原因ではなく首の骨の奇形で首をかしげることもありますので、そのような奇形がないか、また、筋性斜頸のしこりではない腫瘍を疑う所見がないか、などの確認を目的にレントゲン撮影を行います。

治療

筋性斜頸の側(胸鎖乳突筋が硬い側)を向きづらいので、そちらを向きたくなるような環境を整える(筋性斜頸側に添い寝する、おもちゃを置く)ことで、多くは1歳までに自然に改善します。しこりは通常徐々に目立たなくなります。3歳を過ぎても斜頸位が残る場合には、手術を検討します。その理由は、斜頸位が長期に残存することで顔面の非対称が生じ、顔面の非対称については斜頸が改善しても自然改善が得られにくいためです。また成人まで斜頸位が残存すると、強い肩こりの症状につながります。
手術は就学前に行うことが多く、全身麻酔下で硬い胸鎖乳突筋を切離します。術後は再発を予防するため、装具を約2か月間装着し、あわせてストレッチを約1年継続します。装具やストレッチが手術と同じくらい重要な治療になります。

ページトップへ戻る