臨床グループ

高気圧治療部

高気圧治療部では、日本最大の16名同時に収容可能な治療装置を擁し、気圧と酸素濃度を高める高気圧酸素治療(HBO)の臨床と研究を行っています。
HBOは末梢組織の低酸素環境の改善、気体の圧縮作用のほか創傷治癒促進効果などがあり、減圧症、末梢循環不全による足趾潰瘍、晩期放射線障害のほか、スポーツ外傷の軟部組織外傷などに適用されます。
特に、軟部組織外傷に対する基礎研究を積極的に取り組んでいます。

詳細はこちら:東京科学大学医学部附属病院 高気圧治療部HP

担当医師

柳下 和慶

統合教育機構 教養教育部門/スポーツ医歯学診療センター・病院(医系) 高気圧治療部

教授/センター長 柳下 和慶

Kazuyoshi Yagishita

専門:
膝関節外科、スポーツ整形外科、高気圧酸素医学

小柳津 卓哉

スポーツ医歯学診療センター・病院(医系) 高気圧治療部

講師 小柳津 卓哉

Takuya Oyaizu

星野 傑

スポーツ医歯学診療センター・病院(医系) 高気圧治療部

講師 星野 傑

Takashi Hoshino

専門:
膝関節外科、スポーツ整形外科

研究内容

高気圧治療部での研究は「高気圧酸素治療とスポーツ関連外傷」の研究を行っています。
高気圧酸素治療(Hyperbaric Oxygen Therapy:HBO2)では、高気圧であること、高濃度酸素であることを両立して、体内の物理的な酸素濃度を飛躍的に上昇させることが可能となります。これにより、組織障害などで低酸素状態になった組織を保護することができます。例えばスポーツなどで損傷した筋肉は、腫脹と低酸素状態という悪循環に陥ってしまいます(下図)。この悪循環をHBO2による酸素化によって改善することができると考えられます。
資料 図1

現在の研究対象としては、ラットを用いて骨格筋損傷モデルを作製しHBO2の有効性を検討しています。

図1. 損傷筋内の酸素濃度

図1. 損傷筋内の酸素濃度

図2. 損傷下肢の体積変化

図2. 損傷下肢の体積変化

損傷後の急性期の反応として、損傷後の筋肉内の酸素濃度は約15mmHgと低下しますが、HBO2を1回行うと、筋内酸素濃度が上昇しました(上図:図1)。また、HBO2を行うことで損傷後の下肢の体積は有意に減少し、2日早く損傷前の体積に戻りました(上図:図2)。また、筋組織の再生に対しての研究も行っています。

図3. 損傷8日後の筋張力

図3. 損傷8日後の筋張力

図4. 再生筋線維横断面積

図4. 再生筋線維横断面積

筋損傷後8日後の筋張力はHBO2で有意に改善し(上図:図3)、再生筋線維の面積も有意に増加(上図:図4)しました。このことから損傷筋組織の再生においてもHBO2が効果的に働くことが示されました。今後、さらなる作用機序の解明が研究課題となっています。

大学院生の声

当科のHBO2研究は世界的にも認められており、国内はもとより海外の高気圧学会での発表の機会も多く、研究結果が発表に結びつく刺激的な研究生活を送ることができます。これら研究成果は、国内だけでなく海外の関連学会で高い評価を得ています

受賞

1.第67回日本体力医学大会 大塚スポーツ医・科学賞 奨励賞 2012年 9月
2.第47回日本高気圧環境・潜水医学会学術総会 最優秀発表賞 2012年 11月
3.Undersea & Hyperbaric Medical Society Annual Scientific Meeting, Best Overall Trainee/Resident Poster Presentaion 2013. 2013年6月
4.Undersea & Hyperbaric Medical Society Annual Scientific Meeting, Young Scientist/Medical Doctor Award 2013. 2013年 6月
5.Undersea & Hyperbaric Medical Society Annual Scientific Meeting, Young Scientist/Medical Doctor Award 2015. 2015年 6月
6.Undersea & Hyperbaric Medical Society Annual Scientific Meeting, Best Resident/Trainee Oral Presentation Award 2019. 2019年 6月

業績

高気圧治療部の業績一覧へのリンク

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