第52回脊椎脊髄病学会

52回日本脊椎脊髄病学会 参加報告

大学院 平成30年入局 上杉 豪

今回は第52回日本脊椎脊髄病学会の参加報告をさせていただきます。4/134/15に北海道東札幌駅の札幌コンベンションセンターで、現地開催されました。「格到日新」~本質を見極め、脊椎脊髄外科の発展に邁進する~とテーマを掲げ、獨協医科大学を中心に開催されましたが、まず目をひくのは、フクロウをモチーフとした学会ポスターの写真であります。その鋭い視線に見つめられ、会場につくなり背筋を正した参加者も少なくないと思います。某国より発せられた弾道ミサイルのため出されたJアラートにより、地下鉄内で出鼻をくじかれた私も気を新たに、会場入りができました。

この参加報告寄稿の任を拝命していた私は前日に学会アプリで会場や演題順序を確認、同門の先生方の発表を“お気に入り登録”して同門の先生方の参加するセッションを中心に拝聴いたしました。同門からは30人、40演題もの発表があり、頸椎後縦靭帯骨化症をはじめ脊椎腫瘍や感染、成人脊柱変形、骨粗鬆症性椎体骨折、手術合併症、English presentation awardなど、多岐にわたる内容を多くの先生方が発表されておりました。他施設研究や大規模studyにとどまらず、最近注目を集めるFenestrated screwについての知見など、医科歯科の整形外科が国内の臨床研究において中心的な役割を担っていることを再確認いたしました。私自身は頚椎後縦靭帯骨化症と頚椎症性脊髄症の患者群の多施設データに対する検討を行い、口演発表をさせていただきました。学会への参加を喜ぶとともに、ご指導をいただいた大学の平井高志先生には改めて感謝を述べさせていただきたく思います。

また、今回の学会はアフターコロナを強く実感した学会でした。参加者は2500人を超え、会場によっては満席・立ち見まで出るほどの大盛況でした。PCのモニターの前で味気なく終える学会でなく、発表者の緊張感と観衆の熱量を直に感じる学会に、帰ってきた日常を実感しました。学会の発表の中では獨協医科大学の種市先生による会長講演、またファナック株式会社の代表取締役会長である稲葉 善治氏による特別公演が私にはとても印象的でありました。種市先生の講演では観察研究、徹底的に見て学ぶことから理を窮めていくということ、そして日々進歩していく、ということを表した格物致知という言葉について、獨協医科大学、そして同大学の脊椎班の歴史を交えながらご講演いただきました。また、稲葉氏からはファナックの創業者の言葉である「技術には歴史がある。しかし技術者に過去はない。ただ創造あるのみ。」という言葉を交えて、DaVinchiなど産業用ロボットとロボット手術の現状、今後の展望についてお話をいただきました。これらの講演を拝聴しながら、私は自分のやってきた剣道に通じる「守破離」の考え方や高村光太郎の「道程」を思い出し、今年から基礎の分野という新たな領域に足を踏み入れた私にとって、これからの基本姿勢を教えていただいたような印象深い講演となりました。私事もあり、私は一足早く金曜日の夜には東京に戻りましたが、充実した2日間に、これからの診療・研究への活力をいただきました。

ページトップへ戻る