第50回日本肩関節学会学術集会

50回 日本肩関節学会学術集会 参加報告

大学 佐々木亨

今回、1013日から14日にかけて新宿の京王プラザホテルで開催された第50回日本肩関節学会に参加し、貴重な経験を積みましたので報告させていただきます。肩関節学会に参加されたことがある先生は、比較的少ないと思われます。今回は第50回という節目の学術集会であり、「日本肩関節学会 50 年の軌跡」という特別講演を聞くことができたので、初めに簡単に肩関節学会の紹介をさせていただきます。

日本肩関節学会の始まりは、1970年「肩寄せ合う会」という数人で語り合う会だったそうです。その後19741018日、世界に先駆けて「肩関節研究会」が徳島で開催され、これが本学会第1回となりました。アメリカにおけるAmerican Shoulder and Elbow Surgeons(ASES)1982年に設立され、 ヨーロッパにおけるSociété Européenne pour la Chirurgie de l’Epaule et du Coude(SECEC)1987年に発足しました。1974年発足の日本肩関節学会は世界でもっとも早く設立された肩関節外科に関する学会になります(ちなみに、各学会の創設は日本手外科学会1957年、日本脊椎脊髄病学会1974年、JOSKAS1975年、日本股関節学会1974年、日本肘関節学会1989年)。

前置きが大変長くなりましたが、学会の内容を報告させていただきます。今回は医科歯科関連の演題は10題でした。調べた限り、過去5年間は5演題以下でしたが少しずつ医科歯科関連の演題数が増え、関心が高まっていることを示唆しています。学会では普段お会いしない多くの先生方に出会い、写真を撮る機会を得ました。上肢班の先生6名、膝班の先生6名、入班前の先生4名も参加しており、上肢と膝が交わる貴重な学会でした(学会にはいらっしゃって、集合写真にはご都合合わなかった先生もおります)。

 

望月先生の座長、二村先生の座長とランチョンセミナー、植木先生の座談会など医科歯科肩グループの顔とも言える先生方の活躍が目立ちましたが、今年は若手の先生の堂々としたプレゼンに感銘を受けました。二村先生の講演はこれまでにも何度も聴講してまいりましたが、改めて肩の勉強を始めた今となって、新たな視点で聞くことができ、新鮮な気持ちで聞き入りました。学会で座談会という形でのトークを聞くのは初めてでしたが、シャンパンのおかげか、様々な経歴をもつ先生方のプライベートを含めた経験談が繰り広げられ、普通の学会では到底聞くことのない貴重な話を聞けました。

 

ローテーターの波多野先生と渡邉先生(いずれも東京北医療センター)からポスター発表がありました。波多野先生はいったい今までにどれだけ学会発表を経験しているのでしょうか。いい意味でfresh感のない、プレゼン慣れした流れるような説明と質疑応答でした。渡邉先生は集談会で英語プレゼンを経験しているだけあって、1年目と思えない聴講者を引き付ける話しぶりでした。

私自身は、2016年の大学院時代から川端先生のもと研究をすすめております、神経磁界計測を用いた腕神経叢の機能診断について発表させていただきました。肩学会で磁界計測の話が出るのが初めてであることと、主題の中で話させていただいたこともあり、今までに聞かれたことのない質問もいただくことができ、貴重な経験となりました。神経磁界計測は未承認機器であり、まだ臨床診断に利用することはできませんが、これまで診断に難渋してきた末梢神経障害の障害局在の可視化により、末梢神経障害の診断に貢献することが期待されます。

最後になりましたが、お忙しい中最後まであたたかくご指導いただきました、川端先生、二村先生にこの場を借りて御礼申し上げます。今後は、臨床経験を積むとともに腕神経叢の機能診断の確立を目指し精進してゆきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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