第38回日本整形外科学会基礎学術集会 参加報告
大学院生 東川尚人
今回10月19日~20日につくば国際会議場で開催された第38回日本整形外科学会基礎学術集会に参加して参りましたのでご報告致します。
本学会は1973年「骨・関節の基礎を語る会」に端を発し、1983年に「整形外科基礎研究会」、1986年に金沢で開催された「日本整形外科学会基礎学術集会」とその学会名称を改称しながら発展を続けてきた伝統のある学会です。
基礎研究の意味に関しては多種多様の考え方があると思われますが、諸所の問題の実用的な解決策を解明するというよりは、特定の現象や法則を観察し、そのプロセスの仕組みを検証するような真理の探求に重きが置かれています。その原動力の根底にはどうしてだろう、不思議だ、知りたいといった好奇心や知識欲があり、それらのおかげで人類はこれまであらゆる事象に関する数々の知識や認識を得て発展してきました。役に立つか否かの論ではなく、研究を通じて誰も知らないことを知りたいという一種の自由さが基礎研究の学会には色濃く反映していると思われます。本学術集会を主催頂く筑波大学整形外科の教授であられる山崎正志先生は、わが国の整形外科は諸外国の整形外科と若干異なり手術のみではなく保存療法や予防医学にまで知識を広めた「患者さんの運動器を包括的に診る」診療をしていること、また、基礎研究を行っている整形外科医が多いことから「Surgical Scientist」と呼ぶに相応しいと仰いました。世界的にも質の高い医療を提供していると言われているわが国で、将来の整形外科医療につなげていくための基盤になるこのような学会での活発な議論は大変意義深い価値があると思われます。
東京医科歯科大学病院近傍の秋葉原駅からつくばエクスプレスを通じてつくば駅に直接到着後、緑豊かな並木道を10分ほど歩いたところに会場のつくば国際会議場があり、交通の便の良さを感じました。つくば国際会議場は、これまでにG7茨城・つくば科学技術大臣会合やG20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合といった主要な議会が催されており、世界的にも高水準な研究と教育が行われかつ高度な科学技術が集約するサイエンスシティである筑波研究学園都市を象徴する実績のある会議場です。学会場に到着すると、初日から多くの参加者の方々が集まっており、早速わが国最大級の研究機関拠点における中核施設の熱を感じずにはいられませんでした。
本学会では多くの同門の先生方、とくに基礎研究に携わる大学病院の先生方が演者や座長としてご活躍されておりました。私は、東京医科歯科大学大学院先端技術医療応用学講座の川端先生のもとで、腰椎神経根から分岐する末梢神経を経皮的に刺激し神経根と馬尾の電気活動を神経磁界計測により観察評価するという内容を発表致しました。久しぶりの口演発表であったため緊張もありましたが無事に終えることが出来、発表後は他病院の先生方と議論を交わすことが出来ました。学会場でのダイナミックな意見交換の場に自分が参加でき、「IMAGINE THE FUTURE」をテーマとする本学会で、未来の整形外科医療に向けて少ないながら貢献できたことにうれしく感じました。