第97回日本整形外科学会学術総会 参加報告

97回日本整形外科学会学術総会 参加報告

東京医科歯科大学整形外科学 杉浦沙羅

2024523-26日に福岡県福岡市で開催された第97回日本整形外科学会学術総会に参加いたしましたので、ご報告させていただきます。

本学術総会は慶応義塾大学医学部整形外科教室の松本守雄教授を会長として、「未来を創る人生100年時代の整形外科」のテーマで開催されました。未来を銘打つ学術総会にふさわしく、講演や企画展示まで様々な「未来」の取り組みが見られました。

  企画展示では、AI、ロボット、遠隔医療、ビッグデータ利活用などの新規医療技術を特集した「未来展示コーナー」やそれに併設された「ロボットカフェ」が目を引きました。このカフェの分身ロボットOriHimeが開発された根本には、外出困難な身体状況でも社会参画を可能にするというコンセプトがあるそうです。一人の運動器疾患の治療に関わる者として、重要な視点だと考えさせられました。分身ロボットカフェの本店が日本橋の近くにあるとのことで、ぜひ個人的に行ってみたいと思いました。

             

 

 

 

 

 

 

また、本学術総会での新たな取り組みとして、SDGsの観点からランチョンセミナーのお弁当配布形式が改められ、従来の各会場前で配布する方式から、昼食券を各自でお弁当に引き換える方式となりました。昼食券は学会場でのキッチンカーに利用することもでき、環境に配慮しながら地元のグルメを楽しむこともできる一石二鳥の仕組みとなっていました。他にも、gender equalityの観点から演題発表の座長の女性の比率を高くするなど、様々なアプローチで「未来」のテーマに沿った準備をして下さっていました。

講演のテーマも「未来創造講演」として、ロボット手術、医療DXAIについてなど新たな技術が脚光を浴びていました。個人的に印象的だったのは「未来医療を実現する近未来の治療室SCOT」の講演でした。SCOTとはSmart Cyber Operating Theatherの略で、手術室内にある複数の医療機器を連携させて情報を結合することにより、手術室内で起きている事象のデータ化、情報化を実現する技術です。統合した情報を外部と共有し、高度な専門知識を持った医師にリアルタイムでアドバイスを求めることで、どこでも最先端の知見に基づいた手術を実現することができるという展望についても語られていました。本学も今年度東京工業大学との統合を迎えますが、医療と工学の連携は今後の医療にとって必要不可欠であることを本講演から改めて感じました。

シンポジウムを含む多くの講演・発表で同門から多くの先生方が演者、座長としてご活躍されていました。まさに「未来」をテーマとした学会にふさわしく、機械学習をテーマにした研究で、本学から脇智彦先生が優秀ポスター賞にノミネートされていました(演題名:『機械学習を用いた超音波検査による手根管症候群診断の試み』)。

今学会も、主催大学の精力的な準備と運営、素晴らしい発表の数々により、魅力があふれる学術総会であったと感じました。近年はCOVID-19の余波も落ち着きつつありますが、次回総会も無事に現地東京で開催されることを願っております。個人としてもいっそう精進し、学会を盛り上げていきたいと考えています。今後ともどうぞご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

 

 

ページトップへ戻る