AO trauma course Basic Principles of Fracture Management 参加報告
埼玉石心会病院 猪森勇介
2024年8月22日~24日に開催されたAO trauma course Basic Principles of Fracture Managementに参加いたしましたので、ご報告させていただきます。
AO courseは、骨折治療の基礎・臨床的研究グループでありスイスに本部を置く非営利団体のAO Foundationが開催する骨折治療に関する教育活動で、世界各国で様々なCourseが開催されております。例年年2回、2月と8月に開催されており、今回も例年通り、新横浜駅近くの新横浜プリンスホテルで開催されました。
今回参加しましたBasic courseはその中でも基本にあたるコースで、修了するとAdvanceやMastersといったコースを受講できるようになっています。医科歯科関連ではBasic courseに、鈴木大成先生(済生会川口総合病院)、石川先生(さいたま赤十字病院)、関原先生(JAとりで総合医療センター)が参加され、Advance courseには佐々部先生(東京共済病院)、塩川先生(埼玉石心会病院)が参加されていました。
内容は、①各講師によるレクチャー、②ボーンモデルを使用した実技実習、③Small group discussionの3本柱となっており、分刻みでみっちりとスケジュールの詰まった3日間でした。それぞれ振り返ってみます。
- ①レクチャー
骨折治癒過程の話からはじまり、骨折部位ごとの治療計画の立て方、多発外傷、術後感染など多岐にわたるレクチャーがありました。Facultyの王先生も創外固定や骨盤骨折などのレクチャーを担当されておりました。外国からの講師も2名いらしており、英語でのレクチャーもありました。スライドを見ながらでもあり、おおよそ英語を聞き取れはしますが、細かい部分やニュアンスまでは理解しきれませんでした。この原稿を書いている1か月後に大学院試験でTOEFLがありますが、引き続き英語の勉強の必要性を感じました。
- ②ボーンモデルを使用した実技実習
2人1組でボーンモデルを使った手術トレーニングをおこないました。ラグスクリューテクニックでAbsolute stabilityを得る実践からはじまり、足関節や前腕のプレート固定、脛骨や大腿骨の髄内釘など様々な手技を実習しました。どの実習も今後の手術に活かせる内容でした。C typeの足関節骨折で脛腓間にポジションスクリューを挿入する症例で、術前と術中の評価方法や実際のスクリュー挿入時の注意点などをインストラクターの先生から伺えたのは特に有意義でした。
- ③Small group discussion
15人くらいのグループにわかれて、提示された病歴と画像所見から術前評価や手術方法(インプラント、アプローチなど)をディスカッションしました。進行役の先生が順に質問を振ってそれに答えていきながら進む形式でした。Basicコースのためか、あまり大きく意見が分かれて議論になる症例は多くありませんでしたが、症例によっては施設ごとに対応や意見が分かれるものもあり新たな発見がありました。また、症例と関連した知識や手術のちょっとしたコツを進行役の先生が教えてくださり、有意義な時間でした。
以上のような内容で、非常に充実した学びの多い3日間を過ごすことができました。普段外傷手術を担当することの多いローテーターの先生方にはぜひ参加をおすすめしたいです。参加資格は卒業後3年が経過していること=4年目以降で、外傷に興味を持っている医師ということですので、研修した施設にもよりますが1年ほどは外傷手術の経験があったうえで参加した方が有意義と思います。参加者の事前アンケート結果でも、医者5-10年目の参加者が多かったと思います。自分もぜひAdvanceコースを今後受講したいと思います。