第98回日本整形外科学会学術総会 参加報告

第98回日本整形外科学会学術総会 参加報告

大学 猪森 勇介

2025522日~25日に開催された第98回日本整形外科学会学術総会に参加いたしましたのでご報告させていただきます。

場所は東京国際フォーラムで、2010年以来15年ぶりの東京開催でした(前回の東京開催は四宮先生が会長で東京医科歯科大学が主管でした)。今回の会長は北海道大学の岩崎倫政教授で、テーマは「Lofty Ambition -高邁(こうまい)なる大志を胸に―」でした。AIなどテクノロジーの驚異的な進歩、さらに医師の働き方改革など、医学・医療の世界が大きな変革期を迎えている中で、そのような混沌とした時代だからこそ「Lofty Ambition」を胸に診療・研究・教育に取り組む必要があるという思いが込められたようです。

<聴講>

私は4月から大学院に進学したこともあり、研究と関連でAIに関する口演を中心に聴講しました。初日の朝8時から、メイン会場である国際フォーラムから数分離れたJPタワーでのセッションでしたが、多くの聴衆がいて関心の高さがうかがえました。機械学習を応用した画像診断、手術支援、新たな診断法やChat GPTなど大規模言語モデルの応用など、新技術開発の試みが多数発表されていました。画像診断に関しては、エコーや単純レントゲンといった侵襲がすくなく比較的簡便な検査に機械学習を通すことで、より多くの情報を得る技術の発展が一つの関心である印象を受けました。プログラムを眺めていると、AI・人工知能のセッション以外の一般演題中にもAIの活用やロボットでの手術支援などの口演があり、今後より一層増えていくだろうと感じました。

初日の夕方にはサッカー元日本代表の小野伸二さんがいらっしゃるスペシャル企画があり、同門の仁賀先生とコンサドーレ札幌のチームドクターをされている笠原先生とのトークショーが開催されました。サッカー好きな自分としてはぜひ現地で聴きにいきたいところでしたが、残念ながら当直があり叶いませんでした。

<企画展示>

広大な国際フォーラムの地下フロアで多くの製品展示がありました。人工関節や脊椎のインプラントの展示が大半をしめるなか、エコーの製品展示場で人だかりができておりました。和歌山医大の先生が頸椎神経根をエコーで描出する実演をされており、普段CSRの患者さんに外来でブロックをおこなっているようで、感謝されるとのことです。いままで見たことのない手技で興味深いものでした。また紹介されたエコーの製品では、ディープラーニングを通して神経の形状検出を自動でおこない色づけして描出する機能も備わっておりました。

<スポーツ大会>

コロナの影響で一時期開催されておりませんでしたが、2年前から再開し、今年は恒例のサッカー・野球に加え、モルックが開催されました。モルックという競技を今回初めて知りましたが、フィンランド発祥で、木製の棒をなげてピンを倒すスポーツです。東京科学大では、上杉先生、脇先生、塚本先生、新田先生が出場されました。なんと準決勝まで勝ち進み、のちに優勝する北大に僅差で敗れたものの、大変盛り上がった勝負で3位に入賞されました。試合は早朝で見に行くことができませんでしたが、私が2日目朝の講演を聴きに国際フォーラムに着くと、上階から一瞬大歓声が響いておりました。後ほど脇先生に聞くとちょうど北大に負けた時の歓声であったようでした。大会前、脇先生がたびたびお昼に練習に出かけている姿をみておりましたが、優勝した北大には開催国ならぬホストチームの意地を感じました。

サッカーは筑波大が優勝し、慶應大もベスト4と関東勢が健闘しておりました。我々は関東の予選で負けてしまい、今年も本戦出場がかないませんでした。昨年の予選はPK戦で負け、今年の予選は私用で参加すらできず力になれませんでした。来年こそは予選を勝ち抜き、学会期間の早朝に真剣勝負をするという楽しい経験ができるよう、コンディションを整えていきたいと思います。

<まとめ>

今年も同門の先生方が多数講演やシンポジストで活躍されておりました。見どころと学びの多い学会で大変有意義な時間を過ごすことができました。今回の学びを生かし、日々の研究と診療に励んでいこうと思います。

ページトップへ戻る