第3回日本スポーツ整形外科学会 参加報告
大学 關 良太
第3回日本スポーツ整形外科学会(会期:2025年9月12日~13日、会場:ザ・プリンスタワー東京)に参加いたしました。本学会は、スポーツ整形外科領域における最先端の知見や技術を共有し、臨床・研究双方の発展に寄与する重要な学術集会であり、今年は英語セッションも多く企画されており海外の著名な先生方も多く招待され多数の参加者で大いに盛況を呈しておりました。
私はポスター発表でしたが今回は自由討論という形式でしたので、主に膝関節の口演の聴講をメインとして参加させて頂きました。今回は特に前十字靭帯再建術におけるGraft failureを予防するための様々な取り組み(半月板修復、外側関節外補強、膝周囲骨切りなど)の報告が多くなされ関節外治療を組み合わせた再建という近年の流れを象徴しておりました。また、スポーツ復帰を視野に入れた膝周囲骨切り術のセッションも多くみられ各施設で症例に応じた工夫がなされており同じ疾患に対しても多様なアプローチが存在することを改めて実感し大変興味深く拝聴させてもらいました。一方で、人工関節置換術とスポーツ復帰に関する話題も取り上げられており、これまで「人工関節=スポーツは制限」という考え方が主流でしたが、アクティブな中高年や若年層においても術後にある程度スポーツ活動が可能となってきており、従来の概念が変わりつつあることを実感しました。
さらに、再生医療やバイオマテリアルを応用した新規治療法に関する発表もあり、将来的な治療戦略の広がりを予感させる内容でした。AIを活用した診断支援や術後成績予測に関する試みも紹介され、スポーツ整形外科領域においてもデジタル技術の導入が着実に進んでいることを目の当たりにしました。
今回の学会で特筆すべきは、おそらく日本初のLive Surgeryが開催され、日本のTop surgeon 4名による手術を東京スポーツ&整形外科クリニックの手術室と映像をつないで拝見するという試みがなされたことでした。さらに、その執刀医の1人として当教室の古賀英之先生が2日目に担当され、内側半月板後根損傷を伴う変形性膝関節症に対して、セントラリゼーションを組み合わせた半月板制動術および内側開大式高位脛骨骨切り術を披露されました。限られた時間の中で英語での解説や質疑への応答もこなしながら時間内に完遂され、これまで当科で取り組んできた手術手技を全国の参加者に向けて直接提示される姿は非常に迫力があり、聴講する我々にとっても大きな誇りかつ刺激となりました。
学会全日程を通じてほとんどの時間帯で関連病院の先生を含めた東京科学大の先生方が登壇されており、学術的な意義に加え、同門の先生が第一線で活躍されている姿を目の当たりにし、今後の臨床・研究活動に一層励む決意を新たにいたしました。
本学会参加を通じ、膝関節をはじめとするスポーツ整形外科領域の進歩を肌で感じるとともに、自身の臨床・研究への姿勢を改めて見直すきっかけとなりました。今回得られた知見と刺激を日常診療に還元し、今後も研鑽を重ねていきたいと思います。