第55回日本脊椎脊髄病学会学術集会 参加報告
東京科学大学 堀内 昭宏
この度、2026年4月16日(木)から18日(土)の3日間、福岡国際会議場およびマリンメッセ福岡B館にて「第55回 日本脊椎脊髄病学会学術集会(JSSR2026)」が開催されました。最終的な参加者数は2714名に達し、国内最大規模の脊椎外科学術集会にふさわしい盛況ぶりでした。東京科学大学整形外科関連からは54演題の発表があり参加施設中トップの演題数を誇り、さらに江川聡先生がEnglish Presentation Awardで銀賞を受賞されるなど、本学教室の存在感を改めて示す結果となりました。博多湾を望むウォーターフロントの会場で、春の福岡らしい穏やかな陽気の中、充実した3日間を過ごしてまいりましたので、ご報告いたします。

初日(4月16日)は、個人的にAIへの関心が高いこともあり、「脊椎外科におけるAI活用」や「AIロボットによる医療・介護の変革の可能性」など、AI関連のセッションをいくつか拝聴しました。脊椎外科とAIの融合がここまで進んでいるのかと改めて実感し、乗り遅れないようにしなければという気持ちになりました。その他、FESSや頚椎術後合併症のセッションなども聴講し、最新の知見を吸収しました。
初日夕方の一般口演「頚椎手術」セッション(第3会場、17:00〜18:00)では、「頚椎前方除圧固定術における合併症発生率と術前脊髄症重症度の関連性―1000例を超える多施設共同研究―」と題して口演発表をさせていただきました。術前に脊髄症が重度な患者さんでも周術期合併症の発生率に有意差はなく、「重症だからといって手術を躊躇しなくてよい」という内容を、1000例超の大規模データでお示しすることができました。発表後の質疑では、同セッションの他演題も含め様々な視点からの議論を拝聴し、自分がまだまだ知らないこと・考えられていないことが多いと痛感しました。ご協力いただいた共同研究者の諸先生方に改めて感謝申し上げます。
2日目(4月17日)の朝は、スポンサードシンポジウム「日本式!高齢者脊椎手術におけるBone Health Optimizationの実践」を拝聴しました。吉井教授をはじめ、各分野のエキスパートによる骨質管理と術後成績向上に向けた実践的な議論が展開され、非常に充実した内容でした。高齢化が進む中で、脊椎外科医として骨質評価・骨粗鬆症対策にしっかり向き合う重要性を改めて認識しました。その後も脊髄モニタリング、多施設レジストリ研究、高齢者脊椎手術、頚椎前方手術など、自施設に関連するセッションを中心に精力的に拝聴しました。







3日目(4月18日)は招待講演「Clinical Decision Making in Severe but Silent Degenerative Cervical Stenosis / Treatment of OPLL」を聴講し、無症候性頚椎症に対する手術適応の考え方や海外施設の最新エビデンスについて知見を深めました。閉会式をもって学会は幕を閉じましたが、最後まで熱気にあふれた集会でした。

3日間を通じて、リアルワールドエビデンスの創出やAI・低侵襲手術の最前線など、脊椎外科の現在地を肌で感じることができました。全国の先生方と直接顔を合わせて議論したり、食事を共にしたりする経験は、論文やウェブ配信では得られない貴重なものです。いただいた知見と刺激を今後の臨床・研究に還元できるよう努めてまいりたいと思います。ご支援いただいた諸先生方に心より感謝申し上げます。