第60回日本高気圧潜水医学会学術総会 参加報告

60回日本高気圧潜水医学会学術総会 参加報告

大学 杉浦沙羅

 

令和3年入局の杉浦沙羅と申します。このたび、202665日~6日に岐阜市で開催されました第69回日本高気圧潜水医学会学術総会に参加いたしましたので、ご報告申し上げます。

 

本学術総会のテーマは「The Right Safety, the Right Time, for the Right Patient」でした。医療現場における安全性と高い治療効果の両立を目指し、「正しい安全性をもって、正しい時期に、正しい患者へ治療を提供する」ことの重要性が掲げられていました。

  

高気圧酸素治療といえば、私たち整形外科医にとっては骨髄炎や難治性潰瘍に対する補助治療、あるいはスポーツ外傷の回復促進といったイメージがあるかもしれません。しかし実際には、さまざまな疾患の治療に応用されています。本学会でも、整形外科領域では星野傑先生が外傷急性期のアイシングについて発表され、救急科領域では一酸化炭素中毒、耳鼻咽喉科領域では突発性難聴、皮膚科領域では凍傷や蜂窩織炎に対する治療経験が報告されていました。また、炎症性腸疾患や尿道狭窄症といった治療に難渋する疾患への適応拡大につながる可能性を示す発表もあり、高気圧酸素治療の応用範囲の広さが印象に残りました。

  

また、「The Right Safety」のテーマのもと、高気圧装置の運用に携わる臨床工学技士(ME)による発表を中心としたセッションも設けられていました。日々安全な治療が提供される背景にあるさまざまな取り組みに触れることができ、大変勉強になりました。東京科学大学病院のMEチームからも、局所陰圧閉鎖療法装置を高気圧酸素治療中にも継続して使用する手法について発表がありました。持続吸引装置本体は高気圧酸素治療チャンバー内へ持ち込むことができないため、チャンバー備え付けの吸引設備を利用して治療中も陰圧を維持するという内容です。創傷治癒に対する補助治療としての活用の幅がさらに広がる可能性を感じる発表でした。

さらに、高気圧環境下での作業に従事する方々に関する演題もありました。潜水士(海上自衛隊や水産養殖業従事者など)や地下工事従事者に対する安全衛生管理についての報告があり、普段接する機会の少ない分野のお話を興味深く拝聴しました。

 

基礎研究シンポジウムでは、5演題中3演題が本学からの発表でした。小柳津卓哉先生をはじめ、昨年度プロジェクトセメスターの学生である實村研先生、留学生のAlafati Abulajiangさんの発表には数多くの質問が寄せられ、高い関心が示されていました。なかでもAlafatiさんによるマウス骨折モデルに関する研究発表は大きな反響を呼び、最優秀演題賞に選出されました。セッション終了後も会場内では発表者を囲んだ活発なディスカッションが続き、大学や診療科の垣根を越えた連携の広がりと、本学高気圧治療部に対する基礎研究の牽引役としての期待を強く感じました。

本学術総会への参加を通じて得られた知見を、今後の診療および研究活動に活かし、一層精進してまいります。来年は東京で開催予定とのことであり、今から大変楽しみにしております。

 

 

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