第49回骨折治療学会

49回骨折治療学会 参加報告

天野 祐輔

 

今回2023629日〜71日に開催された第49回骨折治療学会に参加してまいりましたのでご報告致します。

開催場所は静岡県静岡市の「静岡県コンベンションアーツセンターグランシップ」で開催されました。会長である順天堂大学医学部附属静岡病院の最上敦彦先生は、今回のテーマとして“Do The Best We Can”と掲げておりました。多岐にわたる骨折治療という分野において、何がBestなのかを明らかにしたいという思いを込めたとのことでした。開催初日から最高気温35.8℃とまさに夏到来でした。それを見越してなのか、学会会場のドレスコードはクールビズ可 (Yシャツ、ポロシャツ可、チノパン・短パン可、サンダル不可)とホームページに記載されていました。

学会初日は脛骨プラトー骨折や脛骨ピロン骨折の治療についてのセッションを中心に聴講しました。

2日目は海外の先生方の骨折治療 (ここでもメインは脛骨プラトー骨折や脛骨ピロン骨折でした)の講演を聴講し、また骨盤輪骨折治療のセッションも聴講致しました。骨盤輪骨折では仙骨プレート固定や腰椎〜骨盤輪までを固定するSpinopelvic Fixation、経皮的スクリューのアプローチの方法など多岐にわたって学ぶことができました。2日目の最後にはTVでおなじみの伊沢拓司さんの文化講演を聞き、「学ぶ」ことが「楽しく」感じると外野が言わなくても自然に勉強するようになり、そのサイクルをどのように形成するかが重要と講演されていました。

3日目はオンラインとなりましたが、私は骨盤輪骨折・寛骨臼骨折の治療について、各病院のケースレポートを実に6時間聴講致しました。発表、質疑応答も含めてすべて英語で行われ、加来先生も堂々と発表されておりました。また、他病院の症例も文字通りバラバラな骨折の治療について発表されており、衝撃を受けました。

今回の学会で、私は「都心大学病院での高齢者大腿骨近位部骨折治療の検討-重度併存疾患を有する症例集約化と集学的治療の試み-」という演題で発表致しました。内容としては、内科的疾患を多く持つ高齢者の全身管理を含めた診療を整形外科のみで行うのは大変なので、総合診療科が主科となって全身管理をしていただき、我々は手術に集中するという取り組みをまとめたものになります。Age-adjusted Charlson Comorbidity Index (ACCI)4点以上で5年死亡率が上昇するという報告のなかで、本大学で手術をした患者の平均が8.5点とスコアの高い症例を診療していることを発表させていただきました。発表後にも興味を持っていただいた他病院の先生ともDiscussionをすることができました。

大学からは王先生や加来先生も発表され、王先生は「転倒衝撃吸収床材の脆弱性大腿骨近位部骨折予防効果を検証するCT有限要素解析モデルの開発と改良」という演題で学会賞を獲得されておりました。

学会を通して感じたのは、各セッションでDiscussionにかなり多くの時間を割いている点でした。そのためか、質疑応答が活発で終了時間を過ぎても質問に並ぶ先生が多くおられました。現在股関節班と外傷班の診療に携わる身ですが、今回の学会で私自身新たな知識を得ることも多く、まだまだ不勉強であり、経験の浅さを痛感しました。今回学会参加したことで上がったモチベーションを維持し、人工関節および骨盤周囲の骨折治療もできるよう精進してまいりたいと思います。最後になりましたが、発表に際しご指導してくださった王先生、学会にて不在時に病棟管理をしていただいた先生方に感謝申し上げます。

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