第66回日本手外科学会学術総会 参加報告
平成30年度入局 塚本和矢
今回4月20-21日に新宿京王プラザホテルで開催された第66回日本手外科学会学術総会(以下、日手会)に参加してまいりましたので、ご報告させていただきます。
昨年までは一般口演は事前にオンデマンド用の発表動画を作成し、現地で発表もしくは動画を流すという形式でしたが、今回はハイブリッド形式の開催ではありますが、一般口演はすべて現地発表でした。座席は特に間隔を空けたりもなく配置されていましたが、それでも会場によっては立ち見の方もいるくらい大盛況でした。
私自身は現在の研究のテーマである母指CM関節症のセッションをメインに聴講しました。母指CM関節症は手術の術式が多岐にわたり、議論の余地があるところですが、1日目の午後以降は母指CM関節症に関連するセッションが続いており、各施設がそれぞれ工夫した術式を発表していました。母指CM関節症に関するパネルディスカッションでは、関節固定術、関節形成術(Suture button suspensionplasty、Ligament reconstruction and tendon interposition)、骨切り術に関しての議論があり、最後の座長から会場の先生方に、もし自分が手術されるなら、どれがよいか?という挙手制の問いかけに対して、関節固定術と骨切り術の挙手が多かったのが、印象的でした。母指CM関節症に対する骨切り術は近年着目されており、日手会での演題数も増えつつある術式であり、良好な長期成績も報告されてきていますが、その改善のプロセスは未知の部分も多く、今後介入の余地がある領域だなと興味深く感じました。
同門の先生では、石心会の山田先生が胸郭出口症候群、さいたま赤十字の白川先生がPIP関節内骨折、大学の二村先生が母指CM関節症に関するパネルディスカッションに登壇し、また大学院生の田中先生がスマートフォンカメラを用いた母指の骨格推定と神経磁界計測による肘部管症候群の評価に関しての2題でシンポジウムで登壇しており、改めて恵まれた環境にいることを実感でき、大学院卒業後のハンド研修も充実したものになると確信しました。