第96回日本整形外科学会学術総会 参加報告
勝又豊啓
5月11日~14日にパシフィコ横浜で開催された第96回日本整形外科学会学術総会に参加してまいりましたので、ご報告させていただきます。
駅から会場への長いエスカレーターを駆け上がるスーツ姿、ポストコロナの現地参加を待ちきれない若手整形外科医でしょうか、学会熱気を入場前から感じられました。
備中温羅太鼓
開会式オープニングでは備中温羅太鼓による演奏があり、一矢乱れぬ動き、迫力が多くの参加者をあっと言わせていました。その後、本学術総会会長である岡山大学、尾﨑敏文教授から学会テーマ『究める-知・仁・術ーQuest for Science, Spirit and Skills』が発表されました。それら3つをあわせて究めていくことが、バランスの取れた運動器医療の基本方針であり、整形外科の発展にも不可欠であるとコメントされておりました。
私自身は聴講での参加でしたが、大学院での研究に関連した半月板セッションを中心に拝聴させていただき大変勉強になりました。現地開催ということもあり、スピード感のある質疑応答、セッション後もフロア討論も盛り上がっておりました。岡山大学が主催ということもあり、半月板後根断裂セッションは質疑応答が特に盛り上がっておりました。私個人としては、歩行時の半月板逸脱の動的挙動を超音波で解析した発表に興味を持たせていただきました。発表内の超音波動画のインパクトは大きく、膝のブラックボックスが1つ開かれたような感覚でした。半月板逸脱は研究分野としても今後ますますの盛り上がりが予見されました。
シンポジウムでは同門からも多くの先生が演者、座長としてご活躍されておりました。「筋腱付着部症」のセッションでは肩・腰・骨盤・膝・足と異なる部位の演者5人の先生方(骨盤は仁賀先生)が共通して画像所見は結果であり、結果をもたらした機能不全を究明するために問診と理学所見が大事であることを説き、局所へのアプローチで局所の痛みをなくしても全身の機能改善がなされなければ再発するという点において一致した見解を述べておられたことが大変興味深く、総会ならではの幅広い分野の参加者にこの共通認識が響いたのではないかと感じました。
また、整形外科学会といったら親善スポーツ大会も見どころです。コロナ流行後の総会では初めての開催となりました。雨天のため野球は準決勝、決勝戦は中止となりましたが、サッカーは無事に全試合が終了したようです。
今学会は現地開催の魅力が詰まっていたと感じました。コロナが収束して、次回総会も現地福岡で開催されることを願っております。個人としてもいっそう精進し、学会を盛り上げていきたいと考えています。今後ともどうぞご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。