ヨーロッパ手外科学会(FESSH)

ヨーロッパ手外科学会(FESSH) 参加報告

大学院 山田英莉久

今回202351013日に開催されたヨーロッパ手外科学会(FESSH)に参加してきましたので報告いたします。

開催場所はイタリアのリミニという都市で、ボロネーゼで有名なボローニャから電車で1時間ほどの距離にあるアドリア海に面した小さな都市です。リミニは夏には多くの観光客で賑わうヨーロッパ有数の高級ビーチリゾート地で、古代ローマ時代の歴史的建造物が多数現存する歴史ある場所としても有名だそうです。学会開催時はまだ春で観光シーズン前でしたが、心地よい気温と湿度で非常に過ごしやすい時期でした。

FESSHはヨーロッパ各国からはもちろん、世界中から手外科医やセラピストが集まる大きな学会で、今回も多くの参加者で賑わっていました。しかし日本からの参加者はまばらで、日本人による演題もあまり多くなく少し寂しい印象がありました。コロナ渦の影響もあり日本からの参加者・発表が大きく減ってしまったのだと思われますが、今後再び日本からの発表・参加が以前のように増え、日本勢として学会を盛り上げていける日が来ることを願っています。

今回私は「Development of a Screening Method for Cervical Myelopathy by Hand Movements Using Machine Learning」というタイトルで口演発表を行いました。内容は現在私が大学院で研究している手の動きからAI技術を用いて疾患のスクリーニングや診断を行うシステムについてで、タブレット端末上の書字動作を解析することで頚髄症を高い精度で診断できたという内容を報告いたしました。大規模な国際学会での発表は今回が初めてでしたので大変緊張しましたがなんとか無事に発表することができました。今回一緒に学会に参加した私の指導医の藤田先生は「Smartphone-based machine learning algorithm for disease screening with the 10-s grip-and-release test」というタイトルで、スマートフォンカメラで手指の動きをAIで解析する疾患スクリーニング技術について発表しました。FESSHは大規模な国際学会である為、手外科領域での最新の話題はもちろんのこと、日本では見られないようなユニークな内容も多く目が離せない発表が揃っていました。多くの発表・講演の中でも特に手根管症候群の術後再発に関する講演は大変勉強になり、手根管症候群の業界ではPadua分類で有名なPadua先生が生で講演しているのを見ることができ感動いたしました。

国際学会への参加は普段なかなか行けない国や場所に行くことができる機会でもあります。飛行機で降り立ったボローニャでは世界で初めて人体解剖が行われたと伝わるヨーロッパ最古のボローニャ大学の解剖学教室を見学して見聞を広めたり、滞在中は本場のイタリア料理を満喫して心身ともにリフレッシュしたりすることができました。

今回のFESSH参加では、国際学会での英語発表という目的だけでなく、海外の発表を生で聴いたり海外の医療従事者との交流を通して日本では得られない多くの刺激をもらったり、他国の文化を体験することによって知見を広められ、非常に多くの気付きや学びを得ることができました。このような機会を与えてくださり発表の指導をしてくださった藤田先生、出張費を一部援助してくださった整形外科医局には心より感謝申し上げます。これからも国内だけでなく海外で開催される多くの国際学会で発表ができるよう、引き続き研究に精進してまいりたいと思います。

ページトップへ戻る