第67回 日本手外科学会学術集会参加報告
東京医科歯科大学 脇 智彦
令和6年4月25日・26日に開催されました第67回日本手外科学会学術総会に参加いたしましたので、ご報告いたします。
今回は奈良県立医科大学手の外科学講座 面川教授を会長に、奈良県奈良市で開催されました。昨年も現地開催ではありましたが手外科学会としては2023年5月にCOVID-19が5類対応となってから初めての学会開催であり、東京から新幹線と特急列車で片道4時間という距離ではありましたが、昨年よりも混雑し会場全体が賑わっていた印象です(最終参加登録者1908名)。さらに海外からの招待講演も多く、海外からの参加者は約80名とのことでした。
学会会場 奈良県コンベンションセンター入口にて
今回の学会テーマは「新手一生 手の機能と解剖」でした。テーマの通り、1日を通して各パーツの機能解剖についての教育研修講演がおこなわれ、席が足りず座れない参加者が多く見られることもしばしばでした。手外科領域でメジャーな疾患である手根管症候群や橈骨遠位端骨折については連続して複数セッションが予定され、病態や診断、治療方法についてよりディープに討論が交わされ大変盛り上がっていました。私個人としては研究テーマの一つである手根管症候群についてのセッションを主に回りましたが、さまざまな角度からの研究を知ることができ大きな刺激を受けました。特に検査方法について、神経伝導検査や近年その存在感が強まっている超音波検査についての発表が昨年より増えているように感じました。
他の施設に負けず、同門の先生からも数多くの発表がありました。今回最大のハイライトとなったのは田中雄太先生です。若手研究者の発表を対象とした「新手一生賞」にて、最優秀賞を受賞されました(演題名:『神経磁界計測法による神経原性胸郭出口症候群の非侵襲的評価』)。会場からは可視化された神経電流に対して感嘆の声が漏れるともに、神経磁界計測の可能性について質問が寄せられていました。田中先生、受賞おめでとうございます!!