小児期側弯症

病態

側弯とは正面から見て背骨が横に曲がっている状態で、ねじれを伴った脊柱の側弯があり、もとの正常の状態に戻らなくなった状態を構築性の側弯と呼びます。 小児期の側弯症には乳幼児期(3歳以前に発症)、学童期(4歳から9歳に発症)、思春期(10歳以降に発症)があり、最も多いのが思春期特発性側弯症で主に女子におこります。一般には、年齢が若く、初潮前の女子や骨の成熟が未熟な症例で進行しやすいことがわかっております。先天性におこる側弯症や、他の病気に伴っておこる症候性側弯症もあります。また

症状

 他の脊椎疾患と異なり、初期には痛みやしびれ麻痺といった症状が出現することは稀です。ある程度進行すると、肩の高さの違いやウエストラインの左右差、また重度になると腰痛、背部痛のみならず胸郭の変形に伴う呼吸障害などが起こることがあります。

検査

単純X線で側弯を確認することで診断ができます。また、他の病気に伴っての症候性側弯であるかの確認のためMRIで腫瘍などの脊髄病変の評価を行うこともあります。

治療

 医学的に効果が証明されている治療は装具による保存治療と手術治療です。側弯症の程度や年齢などを考慮して、以下の方法を選択します。

  • 経過観察
  • 成長期おいて、側弯のカーブが軽度であれば経過観察のみを行いますが、進行した場合には装具治療へ移行する必要もあり、定期的なX線検査と専門医による診察を受けることが望ましいです。

  • 装具治療
  • 成長期において中等度側弯症の場合は、進行防止のために装具治療を行います。装着時間が長い程効果があります。成長が終了し、側弯の進行もなければ装具治療は終了となります。

  • 手術治療
  • 高度の側弯症の場合(個々の違いはありますが、特発性側弯症ではカーブが概ね35~50°以上)は、成長が終了後も側弯が悪化することが知られており、その結果として腰背部痛や神経障害が出現する可能性があるため、手術を検討します。手術は背中の後方から背複数の背骨にチタン製のスクリューを挿入し矯正固定を行うことが一般的です。手術のリスクをゼロにはできませんが、当科では、変形の強い骨により安全にスクリューを刺入するため術中にCTとナビゲーションシステムを用いており、また神経に過度の負担がかからないよう脊髄機能モニタリングを使用し、輸血に関して献血由来の血液でなく予め自分の血液を貯めておいて使用する自己血輸血を使用し、可能な限り安全に手術を行っております。

単純X線写真 左:術前 右:術後

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