頚椎椎間板ヘルニア

病態と症状

背骨同士をつなぐクッションの役割をしている椎間板が加齢性変化によって後方に飛び出し神経症状を起こす状態です。比較的若い世代(30-50歳代)におおく見られます。ヘルニアが神経を圧迫する部位によっては片側の頚部・肩甲部・上肢の痛みがでる神経根症や四肢のしびれや運動障害を引き起こす脊髄症になることがあります。

公益社団法人日本整形外科学会『症状・病気を調べる(頚椎椎間板ヘルニア)』
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spinal_disc_herniation.html

検査

単純レントゲン写真では変性所見を認めることが少ないですが、椎間板の不安定性があるか、動態撮影を行うことがあります。頚椎MRIで椎間板の突出(ヘルニア)を確認できます。また手術療法となる場合、入院による脊髄造影検査が行われることがあります。

治療

頭部・頚部の安静保持を目的に頚椎カラー装具を用いることがあります。疼痛が強い場合は薬物療法や神経ブロックなどで痛みの緩和をはかります。これらの治療で改善がない場合や上肢・下肢の筋力低下や歩行障害・膀胱直腸障害など伴う場合は手術療法を選択することがあります。脊髄・神経根への前方からの圧迫は前側から除圧することで良好な成績を得ていることから、当院では原則頚椎椎間板ヘルニアに対しては前方手術を行っています。神経圧迫をきたしている部位をしっかり除圧を行い、人工椎間板置換術もしくは椎体間固定術を行います。

頚椎椎間板置換術
 椎間板の高さが保たれており、変性所見が少ない椎間板ヘルニアの場合、適応になります(左図)。椎間板ヘルニアを前側から切除し、関節機能を温存できる人工椎間板を挿入します(中、右)。術後カラー固定は1-2週程度行うことが多いです。

日本メドトロニック株式会社HP
https://www.medtronic.com/jp-ja/healthcare-professionals/products/spinal-orthopaedic/cervical.html

頚椎前方除圧固定術
 加齢性変化があり椎間板ヘルニアだけではなく、骨棘や変性すべり症がある場合に適応になります。ヘルニアを切除して(左)、固定を行います(右)。患者さんごとによっても異なりますが術後1-3か月程度頚椎カラーを装着します。

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