首下がり

病態

首が垂れて前を向けない病気のことを首下がり症候群と言います。首下がり症候群 の原因は様々であり、病態に応じた治療が必要となります。古くから首下がり症候群にはミオパチー、パーキンソン病、重症筋無力症、筋委縮性側索硬化症などの神経筋疾患、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患が原因となり得ることが知られています。それらの疾患がない場合は、頚部後方伸筋群の筋力低下が原因となることが多いです。しかしながら、現在でも病態解明は十分にされていません。我々がしばしば遭遇する首下がり症候群には、高齢者のフレイルやサルコペニアに随伴するもの、頸椎手術後の医原性、胸腰椎の成人脊柱変形に合併する例、薬剤によるものなどがあります。

症状

首下がり症候群の最も大きな症状は前を向けない(前方注視障害)ことです。通常は肩が凝っているような違和感から始まり、頭部が重く感じるようになり、そのうち前にかがんだ状態となり、前を向けない状態となります。また頚椎の後弯により頑固な頚部痛や、四肢のしびれや麻痺などの脊髄神経の症状を呈することがあります。

検査

頭が垂れ下がり前方注視が困難といった姿勢や症状がある場合に、前方単純X線にて、頚椎の変形を確認します。その後、採血や筋電図などで原因となる疾患があるかどうかの確認をします。

治療

首下がり症候群の原因は多岐に渡り、原疾患のある場合はその治療が必要です。また原疾患が明らかでない場合は、頚部後方伸筋群の筋力低下が原因となることが多いため、それらの筋力を改善するためのリハビリテーションが大切です。また装具を着用すれば症状はある程度改善することもあります。こういった保存加療を行っても効果が得られない場合で、患者さんが希望される場合には、手術治療が行われます。手術はスクリューを挿入し弯曲を矯正しロッドで固定する手術が行われます。一般的には長範囲固定となるため、複数のスクリューを挿入することとなりますが、当院では術中ナビゲーションシステムを用いて、また手術中に神経に過度な負担がかからないよう脊髄機能モニタリングを併用して、可能な限り安全に手術を行っております。

単純X線 左:術前、右:術後

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