成人脊柱変形(変性後弯症・側弯症)

病態

 脊柱変形とは、脊柱の弯曲の異常を指し、正面から見て横に曲がっている状態を側弯と呼び、側面から見て後方凸に曲がっている状態を後弯と呼びます。成人脊柱変形には、脊柱後弯症、後側弯症などがあります。成人期の脊柱変形の原因としては、加齢による椎間板変性や小児期の特発性側弯症の悪化、医原性(手術で固定を行った結果、後弯状態で癒合した状態)、骨粗鬆症などによる圧迫骨折に代表される椎体骨折の変形癒合、パーキンソン病などの神経筋疾患などが上げられます。

症状

 腰部や背中の痛み(腰背部痛)、歩行時の腰曲がり、腰背部の痛みのため長時間の立位や歩行が困難となります。また、台に肘をついて反対側の手で洗面を行う、手を大腿の前について歩行するといったバランス障害に特有の症状が出てくることもあります。それ以外にも逆流性食道炎などの内蔵症状が出現することもあり、重症例では慢性の肺疾患や心疾患と同じくらい日常生活の質(QOL)低下するともいわれており、重症例では生命予後にも影響を与える可能性もあります。

検査

  • 単純レントゲン画像
  •  脊柱変形は脊椎配列の問題ですので、立位自然体での全脊柱の正面レントゲン画像が一番重要です。(図1)

    図1. 単純X線写真 左:正面像 右:側面 脊柱全体が後弯(後ろに凸)となっています

  • 磁気共鳴画像(MRI)
  •  脊柱配列、バランスの評価としては必須ではありませんが、脊柱変形に脊柱管狭窄を伴うことが多いですので、これらの評価に有用です。

  • CT
  •  画像技術の進歩によって、様々な方向での画像の出力や3D再構成画像での立体的な評価が可能となっています。特に後側弯症では、立体的なアライメント異常を認めますので、立体的な画像評価は必須です。(図2)

    図2 . 後側弯症のCTの3D画像

    治療

     保存治療が基本となります。しかし、保存治療で効果が得られず、重度の腰背部痛で日常生活が制限される場合は手術を検討する必要があると考えられます。

    • 保存治療
      • リハビリテーション
      • 脊柱変形に対する特別なものはなく、通常の腹筋・背筋トレーニングを行います。後弯症(腰曲がり)は体幹の重心が前に倒れてしまう病態ですので、それを防ぐために特に背筋強化が重要です。通常の腹筋・背筋トレーニングをできない方も大勢いるので、まずはうつ伏せの姿勢を取ることから始めていきます。

      • 薬物治療
      • 痛みに対して鎮痛剤を処方します。現在、鎮痛剤は様々な種類のものが存在しますので、患者の併存症などを考慮したうえで様々なものが使用されています。

      • 生活上の工夫
      • 生活上の工夫をすることで歩行や立位時の腰痛を軽減はできます。後弯症では、杖やシルバーカーを使うことで前にも支えを作ることで腰痛を軽減することは可能です。また、体幹が前倒れしないようにコルセットを使用することも有効と思われますが、長時間着用することで体幹の筋力の低下を来すことも考えられますので、あまり頼りすぎないことが必要です。

  • 手術治療
  •  手術では、金属製のスクリューやロッドを使って曲がっている骨をより自然に近い形に矯正し固定します。胸椎から腰椎、骨盤まで固定することもあり大きな手術になります。最近は、後方からの矯正固定術に加えて、前方法を併用した低侵襲手術など手術治療のバリエーションも増加しています。当科では、変形の強い骨により安全にスクリューを刺入するため術中にCTとナビゲーションシステムを用いており、また神経に過度の負担がかからないよう脊髄機能モニタリングを併用し、可能な限り安全に手術を行っております。

    図3. 後側弯症に対する多椎間矯正椎体間固定術(全脊柱レントゲン 左:術前、右:術後)

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