小児整形外科は、新生児から乳幼児期、学童期、思春期までを対象とし、彼らの四肢・体幹に生じた疾患を治療する専門分野です。子どもは成長するという能力を持ちます。疾患によって障害された機能を、子ども達のその成長する力を借りて治療していくのが、小児整形外科医の役割です。
担当医師
先端医療開発学講座 整形外科学分野
講師 瀬川 裕子
Yuko Segawa
先端医療開発学講座 整形外科学分野
助教 山口 玲子
Reiko Yamaguchi
小児整形専門医が在籍する関連病院
- 千葉県こども病院整形外科
- 東京北医療センター
診療内容
1.小児整形外科全般:毎週水曜日午前・午後
当科では、小児に生じた整形外科的疾患全般を診察します。しかしながら小児整形外科疾患は全国的に症例数が少ない疾患も多く、診断に難渋することが少なくありません。そのような場合、当科では、患者さんの了解を得た上で、関東近郊の小児整形外科医が集まるカンファレンスなどで検討を行い、正確な診断にたどりつくことに努めております。また、当科単独では治療が難しい症例については、関東近郊の小児施設に治療をお願いしています。とくに担当医師が4年間研修を積んだ千葉県こども病院整形外科とは常に連携体制にあります。
対象疾患
・股関節疾患
先天性股関節脱臼、臼蓋形成不全、大腿骨頭すべり症、ペルテス病、化膿性股関節炎、単純性股関節炎、開排制限など
・足部疾患
内反足、外反扁平足、尖足、足根骨癒合症など
・下肢疾患
O脚、X脚、脚長不等、ブラウント病、内股歩行など
・上肢疾患
先天奇形、骨折後後遺症など
・全身疾患
くる病、骨系統疾患、骨髄炎など
・その他
筋性斜頚、脳性麻痺、環軸椎回旋位固定、若年性特発性関節炎 など
臨床研究
1.発育性股関節形成不全と変形性股関節症の関連
主に乳幼児期に診断される発育性股関節形成不全は、その多くが小児整形外科医によって治療を受けます。我が国では多くの小児整形外科医が小児施設で治療を行っているためか、17-18歳で通院終了となり、その後は経過観察を受けない患者さんが多くいらっしゃいます。そしてそのような患者さんの一部が、成人期に主に股関節痛で発症する変形性股関節症になると考えられておりますが、小児期の治療を行った小児整形外科医と、患者さんが成人になって受診する成人の股関節外科医の間には連携がとれないことが少なくありません。当科は、大学病院である特性を生かし、成人股関節外科医と連携し、股関節疾患を新生児期から高齢者にいたるまで長期的に経過観察すること、また変形性股関節症の患者さんにこれまでの病歴をうかがうことなどを通し、発育性股関節形成不全の長期経過、変形性股関節症の原因について、多角的な視点から研究を行っております。