くびから腰までの背骨の病気に対して、患者さんごとに生活環境やご希望などを十分に相談のうえ、最適な治療法を提供します。小さな傷で体の負担が少ない低侵襲手術も積極的に採用し、高齢者の脊椎圧迫骨折の経皮的治療や脊椎内視鏡手術も積極的におこなっています。また、私たちが研究開発している脊髄機能診断装置は世界最先端の技術です。脊柱靱帯骨化症、脊髄腫瘍、脊椎矯正手術(側弯症・後弯症)など難しい手術では、こうした新しい装置を用いて正確な診断を行い、顕微鏡、術中ナビゲーション、術中CT、術中脊椎モニタリングなど先端技術を駆使して、安全・確実な手術をおこなっています。
脊椎診療班は、毎週金曜日の午後に専門外来を行うだけでなく、午前中の一般外来においてもほぼ毎日専門スタッフが出ており、脊椎疾患患者の診療を行っています。特定の疾患に偏ることなく、また手術療法のみに固執することなく、病状の説明や考えられるすべての治療法の長所短所を十分に説明し、治療法選択において患者さん自身のご希望を十分に取り入れていく様にしています。
最先端医療
脊椎疾患の手術法は前方法と後方法に大別されますが、脊椎のどの部位でもこれら全ての手術法を行うことができます。特に、難病に指定されている頚椎後縦靭帯骨化症に対する前方骨化浮上術は、当科で開発された極めて理にかなった手術法ですが、難易度の高い手術であるためこの術式を選択している施設は多くはありません。また、脊髄モニタリングに関しては世界のトップレベルにあり、モニタリングが必要とされる疾患、例えば側弯症・脊髄腫瘍(髄内・髄外)・脊髄係留症候群などの手術は、脊髄モニタリングを駆使することにより、極めて安全に手術が行うことができます。
担当医師
先端医療開発学講座 整形外科学分野
教授 吉井 俊貴
Toshitaka Yoshii
先端技術医療応用学講座
教授 川端 茂徳
Shigenori Kawabata
先端医療開発学講座 整形外科学分野
准教授 平井 高志
Takashi Hirai
先端医療開発学講座 整形外科学分野
講師 松倉 遊
Yu Matsukura
整形外傷外科治療開発学講座
講師 江川 聡
Satoru Egawa
先端医療開発学講座 整形外科学分野
助教 山田 賢太郎
Kentaro Yamada
スポーツ医歯学診療センター・病院(医系) 高気圧治療部
講師 小柳津 卓哉
Takuya Oyaizu
先端医療開発学講座 整形外科学分野
助教 小沼 博明
Hiroaki Onuma
先端技術医療応用学講座
助教 橋本 淳
Jun Hashimoto
先端医療開発学講座 整形外科学分野
特任助教 橋本 泉智
Motonori Hashimoto
先端医療開発学講座 整形外科学分野
医員 岩渕 龍彦
Tatsuhiko Iwabuchi
先端医療開発学講座 整形外科学分野
医員 田原 龍希
Ryuki Tahara
先端医療開発学講座 整形外科学分野
医員 宮本 玲奈
Rena Miyamoto
非常勤講師 榎本 光裕
Mitsuhiro Enomoto
非常勤講師 湯浅 将人
Masato Yuasa
先端医療開発学講座 整形外科学分野
大学院生 酒枝 健太郎
Kentaro Sakaeda
先端医療開発学講座 整形外科学分野
大学院生 東川 尚人
Naoto Higashikawa
先端医療開発学講座 整形外科学分野
大学院生 上杉 豪
Go Uesugi
先端医療開発学講座 整形外科学分野
大学院生 田村 友里
Yuri Tamura
先端医療開発学講座 整形外科学分野
大学院生 新田 智久
Tomohisa Nitta
先端医療開発学講座 整形外科学分野
大学院生 田村 聡至
Satoshi Tamura
手術実績
疾患分類 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
頚髄症 | 81 | 49 | 51 | 56 | 79 |
胸髄症 | 7 | 2 | 6 | 2 | 7 |
腰部脊柱管狭窄症 | 103 | 85 | 82 | 141 | 144 |
脊柱靭帯骨化症 | 36 | 21 | 19 | 35 | 29 |
脊柱変形 | 21 | 14 | 20 | 18 | 14 |
脊髄腫瘍 | 19 | 14 | 13 | 16 | 15 |
脊椎腫瘍 | 20 | 8 | 10 | 12 | 18 |
椎体骨折 | 28 | 21 | 27 | 27 | 38 |
脊髄損傷 | 6 | 3 | 3 | 8 | 10 |
感染 | 13 | 14 | 15 | 18 | 24 |
脳表ヘモジデリン沈着症 | 3 | 9 | 3 | 3 | 9 |
その他 | 3 | 9 | 7 | 5 | 8 |
Total | 340 | 249 | 256 | 341 | 395 |
術式分類 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
頸椎前方 | 44 | 28 | 20 | 31 | 46 |
頸椎後方 | 80 | 47 | 49 | 66 | 73 |
胸腰椎前方 | 9 | 6 | 13 | 13 | 7 |
胸腰椎後方 | 179 | 144 | 157 | 212 | 250 |
腫瘍 | 22 | 14 | 12 | 13 | 19 |
その他 | 6 | 10 | 5 | 6 | 0 |
Total | 340 | 249 | 256 | 341 | 395 |
教育への取り組み
Science Tokyo Spine Lab
東京科学大学脊椎グループでは脊椎疾患を抱える患者さんに安全に適切に提供できるよう教育に取り組んでおります。
その一環として、脊椎外科手術の技術習熟と合併症対策を目的として若手整形外科医や看護師を対象にSpine lab Seminarを行っております。
脊椎外科手術には特殊な手術器械/鋼製器具取り扱いの習熟を必要とします。また、神経や関節といったデリケートな組織の近くを操作することが多く、術中の安全対策が大変重要です。本セミナーでは東京科学大学および関連病院の脊椎脊髄病学会指導医が、手術手技のtipsの講義および実際に道具に触って手技のトレーニングを指導しています。
患者さんが安心して治療を受けられるよう、東京科学大学とその関連病院の脊椎脊髄外科診療ではこのようなトレーニングを受けた医師が診察・手術にあたっています。
専門医が在籍する関連病院
- 九段坂病院
- 済生会川口総合病院
- みなと赤十字病院
- 東京ベイ・浦安市川医療センター
- 土浦協同病院
- 青梅市立総合病院
- 埼玉石心会病院
- 佐久総合病院 佐久医療センター
- 諏訪中央病院
- 練馬総合病院
臨床研究
臨床研究
1.頚髄症の治療成績と術式選択(前方法、後方法)
2.脊柱靭帯骨化症の画像評価
3.腰部脊柱管狭窄症の手術選択
4.骨粗鬆症性椎体骨折に対する保存治療(AMED多施設研究)
5.骨粗鬆症性椎体骨折に対する手術療法
6.硬膜欠損を伴う脳表ヘモジデリン沈着症に対する手術療法
7.成人脊柱変形の手術療法
8.脊磁計の開発
9.脊髄モニタリングに関する臨床研究